Archivum 崩壊:スターレイル

コメットハンターからのお便り(三)

昔の友とかたき、あるいは新しい友とかたきへ

このホセ・ラサロがどんな人物なのか知らない人は、応物課の責任者にでもきけ。

僕が「ヘルタ」の一科学者だったころ、応物科の責任者は温明徳の父親である温槐仁だったと覚えてる。あの老いぼれ斑鳩、ともすれば僕らの研究費を切りつめて、違う惑星の大気や土壌の成分を測定する機器の配給を減らし、商業交流の名義で華やかな骨董品を「カンパニー」から買いつけてた。温槐仁の目は有名だったよ、たくさんの奇物は彼によって安値で買い取られ、その後、高い星間流通時価に跳ね上がった。応物科はこの転売屋で日増しに大きくなる一方、僕らは切れ端で作った勘星用たがねを頼りに苦労して研究を進めるしかなかった。

僕に勘星用たがねで叩かれても、温槐仁は悔い改めることなく、「応物課のソースをオープンし、地理課の容量を節約する」を遂行した。僕がいなくなってから、時々突っ込んで帳簿を調べたり、不平不満を言ったりするトゲがひとつ減って、応物課も繁盛してきたんだろう。なんといっても「カンパニー」の商品ラベルに、サプライヤーが「ヘルタ・万有応物課」がマークされることが増えてきたもんな。

温槐仁の他にも、これまでに地理課の仲間をいじめた連中みんな、このホセ・ラサロが殴ってきた。そのうちの何名かは僕を「ヘルタ」から追放した敵となって、何名かはいつの間にか友人となった。僕って日ごろから歯を食いしばっていろいろやってるけど、本当に殴ってくれたのは温天翁だけだった。そして僕も、感服したよ。殴られて当然だった。

古い友たちは、ほとんどがまだちゃんと生きてるって知ってる。そして僕も生きてる。実際、「ヘルタ」を去った後、僕は何度も「壊滅」の焦土で命を落としそうになって、武装考古の無謀なやり方で派閥に追われ、長年の貯金をすべて仮面の愚者のパブに投げ出してしまったが…こんなに楽しく生きたの初めてだ。

昔の友か宿敵
ホセ・ラサロ