昔々、寒波がベロブルグに訪れてまだ間もない頃。
大地はまだ白い雪に覆われておらず、動物たちがまだベロブルグ城外で愉快に生活できる時代。
ベロブルグから遠く離れた場所に音楽家になりたい一匹のロバがいました。
ある日、ロバの主人が彼に言いました。
「ふふふ、年を取ったロバよ、君は長い間私のために働いてくれた、何か願い事はあるかい?」
ロバはそれを聞いて、夢を叶える時が来たと思い喜ぶ。
「ヒーホー、優しいご主人様、儂はベロブルグのシアターに旅立ち、音楽家になりたい!」
ご主人様は首を縦に振る。
「いい夢だ!こうしよう、私が君をベロブルグ大市場に連れて行ってあげよう!」
「ヒーホー!ベロブルグ大市場?あそこも音楽家が必要なのか?」
彼のご主人は笑った。
「ははは、もちろんだ!明日の朝、裏庭で集合で、寝坊するなよ!」
けどロバは思い出す、多くの動物の友達がご主人にあの場所に連れていかれ、帰ってこなかった。
年老いたロバはようやく気付く、これはやばい!
ロバは食料を背負い袋に詰め込み、夜に紛れて吹雪の中に消えた……