Archivum 崩壊:スターレイル

梁沐の手紙

半夏さんへ、

展信舒顔。(仙舟の手紙にはこのような社交辞令があると聞いた)

流雲渡しを離れてから、何度も君に連絡を取ろうとしたが、君からの返事はなかった。だから前に君が派遣した医士に、手紙を君に届けるよう頼んだ。ここからが正念場なんだ、このまま何も言わずに去りたくはない、だから君には僕の考えを教えなくてはいけない。

正直に言って、あの二人の医士が来なかったら、僕は君に見捨てられたと思っただろう。

だが僕は君を許したわけではない。あの医士たちに聞いたんだけど、君は僕を探しに来なかっただけじゃない、僕が望んだ名簿も持ってきてなかったじゃないか。君は僕を憐れんだから、あの二人を寄こしたに過ぎない。僕に必要なのは「治療」か?そんなものいらない!僕が欲しいのは「対等な尊重」だ。君は常に僕のような短命種を見下している、溝の中のネズミのような気分だよ。

僕があのボロボロなコンテナの中でどれくらいの間身を潜めていたか知っているか?薬王秘伝のやつらがどれほど兇暴なのかわかるか?十王司の判官がどれほど危険なのか想像できるか?君は何も知らない、ずっと丹鼎司に引きこもっているだけ。君は自分の身の安全しか考えていない、僕の命なんて初めから気にかけていない。

君が僕のためにしてくれたことはどれくらいある?僕を愛しているとなど言っていたが、僕は微塵も感じなかったな。

だからここではっきりとさせたい、僕は君を好きになったことはない。君が長生不老の薬を手に入れられると言ったから、僕は君に近づいた。君が薬王秘伝は実在すると言ったから、そいつらに加入するよう君を押した。君が薬王秘伝の名簿を手に入れられると言ったから、リスクを冒して流雲渡しで君を待った。独りよがりはやめろ、君の憐れみなんて僕はいらない。

ついでに、僕は既に司辰宮に送還された。君がこの手紙を受け取ったころ、僕はもうここを離れている。さよなら!

梁沐