※この3つのページに記された内容に連続性はないが、誰かの日記から剥がれ落ちたものに違いない。※
仲間たちと地下をさまよって数日。
毎晩寝る前に思う、流浪者の生活って大変だなぁ。以前は住んでる町に流浪者が来ると強く当たっていたが、そんな俺も流浪を始めるだなんてな?はぁ、こんな日が来るなんてな。
くそ裂界め、あんなもんがなかったら、故郷を離れる事もなかっただろうに。
できれば今夜は風を遮る小屋でも見つかればいいな、街を離れるとホントに寒いよ。
俺たちはボルダータウンの鉱区にたどり着いた、あそこの監督は俺たちの事が目障りで追い払おうとしていたが、結局すみっこの坑道に住まわしてくれた。
この坑道、俺たちが入る前にもう人が住んでいた。聞いてみたら、そいつらも流浪者のようで、これは何と言うんだっけ…同病相憐れむ?
その人たちはここを「避難所」と呼んでいる、以前は鉱夫が鉱山事故から避難するためのセーフルームだったようだ。この坑道が廃棄された後は流浪者の縄張りになった。
人の家に居候するのはなんとも肩身が狭い、でもしょうがない。風を遮る場所があればそれでいいんだよ、贅沢は言ってられない。
こいつらと一緒に生活し始めて二日目。腹がすいて力が出ない、採掘チームに入って働くのもめんどくさい。それにあいつら流浪者を見下してるし、俺たちの動きが遅いと嫌っている。
俺は悪事を働いたことはない、ただゴミを拾って食べ物と交換しているだけだ。どうして俺にあんな態度するんだ?
でも採掘チームにもいい奴はいる。スティーブといって、いつも青いシャツを着ていて、なんかボロボロな感じがする人。その人は俺の話聞いてくれるから、俺もその人と雑談したりする。昨日採掘チームがでかい鉱脈を見つけたとスティーブが言った、そんで流浪のならず者が彼らを妨害し、その場所を占領しようとさえしたって。
ゴミ拾いを続けても何の稼ぎにもならないから、採掘チームの雑用を始めた。俺だって技術者だったんだ、機械設備の修理くらいはできる。そんで採掘チームの人たちと知り合った。
スティーブの兄さんはいい人だ、よく手助けしてくれるし、食い物がある時は俺も呼んでくれる。
これからは採掘チームで仕事する事になるだろう。どうせ食い扶持のためだ、やっぱりゴミ拾いよりはマシだよ。
あの大鉱脈を見に行ってみたんだが。確かにデカい、道理で占領しようとするヤツが出てくるわけだ。
スティーブが採掘チームに入らないか聞いてきた、仕事は機械設備の修理だ。俺は、メシがあるなら勿論、と答えた。スティーブには感謝している。兄さんは他の人とは違い、よく面倒見てくれる。
今度金をためて近くの町で一食奢ろう、あと一緒に流浪していた仲間も連れて。ボルダータウンにゲーテホテルってのがあると聞いた、腕の高いシェフがいるそうだ。
今日、貯めていた金が盗まれた鉱夫がいた。流浪のならず者共がやったに違いないが、そいつらのせいで鉱区の人たちからの風当たりがさらに強くなった。
やっべ!朝起きたらならず者と採掘チームが乱闘していた。だから避難所から一歩も出なかった。
「地炎」の人まで調停に来たようだが、その人たちの話すら聞いてくれなかった。最後は重機が何台か来て、二組の人を分けたようだ。
どうか人命事故が起きないように、まだスティーブの兄さんにメシ奢ってないし。落ち着いてきたら探しに行こう。
この二日間ずっとスティーブを探してたんだが、見当たらない。採掘チームの人に尋ねても、誰も知らない。
兄さんはどこ行った?あのロボットらも人類を守ると言っているのに、まさか本当に何かあったのか?
恐らくスティーブはあの日出勤せずどこかに出かけた。
はぁ…変化はいつも急に起こる。今度こそ何もかも失った。やっと新しい友達ができたと思っていたのに、失踪しちゃったよ。
もうここに思い残しはない、片付けたら明日ここを離れよう。
最後にスティーブの兄さんに会えるかな?