Archivum 崩壊:スターレイル

その2

※長い年月保存されてきた便せんはセミの翼のように薄く、脆くなっており、触れると粉々になってしまいようだ。※

ベッティーへ

ラリーに頼んで狼の毛で膝掛を作ってもらったんだ、彼の所へ取りに行ってね。ラリーは足を負傷してもう前線に立てないの、だから私の代わりに慰問品を買って彼に送って。それと、ちゃんと人に礼を言うのよ、じゃないと失礼でしょ。

私は何日か前に塹壕を検査する時にちょっと怪我しちゃったの、だからここ数週間は帰れないの。それほどの傷でもないけど、ママには言っちゃダメだよ、心配するから。ママの方にはずっと作戦司令室で仕事しているって伝えたの。

最近はものすごく忙しくてね、今は負傷で休んでいるからやっと手紙を書く時間ができたよ。あなたの近況はアニーから聞いたわよ、まさかこんなお利口さんになっていたとは。でも家でママの面倒を見ながら勉強も頑張らなくちゃいけないのはさすがに負担が重いよ。お姉ちゃんとして必要な時に傍にいてあげられなくってごめんね。

私はここでたくさんの死を見てきたの、だから段々…自分も突然死んでしまうのではないかって考えるようになって…もし本当にそうなってしまったら、一家を支えるのはあなたよ、自分とママを守るんだよ。実は家にお金を置いてあってね、これまで貯めた貯金なの、あなたのタンスの中に隠してあるわ、そう、そこよ、こう言えば分かるでしょ。何か食べたいものとか、買いたいものがあったら使ってね、あなたは無駄遣いするような子じゃないって信じてるから。

これ以上のお節介はいらないと思うけど、ベッティー、やっぱりママとは喧嘩しないでね、ママはそういう人なんだよ、争いになりそうな時は譲ってあげちゃいな。

それとさぁ、ずっと教えなかったけど、はは。実はね、ずっとあなたを一番かわいい妹だと思っていたの、ずっと。
麗しいあなたの姉
ラーナ