>>>(動画ロゴ:地衡司宣伝局)
旭光は感情を暴走させる2人を見て、頭を痛めた。
おそらく自らの優れた交渉術に自信を持っていたであろう彼女は、さきほどまではその技術を用い、2人を落ち着かせようと頑張っていた。しかし、今のジャーマンとアクラは感情のコントロールを失い、もう彼女が何を言おうとも聞き入れることができない状態になっている。
【大毫の見解】自画自賛はよせ。この台本の交渉術のどこが優れているんだ!
>>>(旭光執行人、ジャーマン、アクラへの取材を挿入)
このような困難な状況に遭遇した旭光は、地衡司の執行人に必要不可欠な、柔軟で臨機応変な思考といった優れた資質を発揮した。狐族には「言葉は拳よりも力があるが、拳は言葉よりも効果的だ」ということわざがある。
【大毫の見解】天舶司に行って御空様に聞いてこい。もしくは狐族なら誰でもいいから直接聞いてこい!狐族はそんなことを言わないぞ!
「もうやめなさい!決闘で笑顔になれるなら、戦えばいいじゃない――でも、あなたたち同士で戦うのではなく、私と決闘して。私が勝ったら、おとなしく言う通りにしなさい」
ジャーマンとアクラはしばらく考え、話し合った。その結果、旭光の提案を受け入れることにした。
>>>(ジャーマンとアクラへの取材を挿入)最初に決闘に臨んだのはジャーマンだった。彼は礼をすると、安全な距離をとるために後ろへ下がった。そして、武器を持つと凄まじい勢いで旭光に突進していく。長年に渡り女性用の護身術の訓練をしてきた旭光は半身をひらめかせ攻撃をかわし、指を剣の代わりにしジャーマンの「神封」穴を正確に打ち抜いた。一瞬息ができなくなったジャーマンは、足並みが乱れ、そのまま倒れ込んでしまう。決闘は一瞬で幕を下ろした。アクラは一部始終を見ながら呆然としていた。
【大毫の見解】ここはまるごと削除。ただの宣伝用動画の台本なのに、どうしてこんなに細かい格闘描写が必要なんだ?それにアイーガ人の人体構造は仙舟人と同じなのか?ツボや経絡があるのか?
>>>(ジャーマンとアクラへの取材を挿入)アクラは半ば諦め顔で出てきた。仲間の敗北を目の当たりにしたせいか、彼は武器を持たず、素手で構えた。旭光は手の平を空に向け、雲のように手を動かしアクラの一撃目を払うと、拳を次々とアクラの胸元に叩き込む。瞬きをする間に2戦目の決闘も決着がついてしまった。
【大毫の見解】戦闘描写を楽しみたい作者の気持ちは分かる――まあ、いい。この部分は俺が書き直そう。このような台本を世に出したら、文明論争を引き起こしてしまうからな。
2人が立ち上がるよりも先に、旭光がパッと前に出て彼らの退路を塞いだ。颯爽とした姿の女執行人は2人の前に立ってその手を掴むと、互いにしっかりと握手するように言う。
「ジャーマンもアクラも私に負けたんだから、決闘はここまで。2人とも仲直りしなさい!」
>>>(旭光への取材を挿入)
その後、ジャーマンとアクラは天舶司の助けを借り、船に乗って自分たちの故郷へと戻った。
一方、旭光については、武力で外交トラブルを解決したことが物議を醸した。地衡司の上層部が話し合った結果、彼女は戒告処分となった。
こうして地衡司はまたしても仙舟の平和を守ったのだった。
>>>(エンドクレジットの演者一覧を挿入)
【大毫の見解】よく考えたんだが、やはり脚本を書き直してくれ。俺はもう直したくないんだ。こんな宣伝内容が一般に向けて公開されたら、最後に残された地衡司の評判すら地に落ちるぞ!