顔に当たる雪が増えてきた、背中の背負い袋も重くなってきた、年老いたロバは寒さで蹄が痛む。
「ヒーホー、この吹雪はいつ止むんだ?」
聡明な猟犬はロバの愚痴を聞いて、枯れた木の根の後ろであくびをする。
「ワンワンワン、吹雪は止まらない!道を急ぐと転ぶぞ!」
ロバは吹雪で前が見えない、それに力も入らない、だからしょうがなく猟犬と一緒に木の根の後ろに隠れる事にした。
でもどうして吹雪が吹き荒れる野外に猟犬がいるんだ?ロバは興味津々に聞く。
「ヒーホー、ありがとうよ!それより、あんたはどうして外にいるんだ?」
それを聞いた猟犬は頭を横に振る。
「ワンワン!どういたしまして。吹雪は止まらないし、獲物も見当たらない。用がなくなったから、ご主人はオイラを挽き肉にしようとしたんだ!だから仕方なく逃げ出したんだ」
ロバはそれを聞いてため息をつく、吹雪の中、どこに逃げられる?でもロバは直ぐに思いついた。
「ヒーホー、聞いてくれ!ベロブルグという都市があるんだ、あそこは暖かい!儂が琴を弾き、あんたが鼓を打つ、儂らならきっと舞台の人気者になれる!」
猟犬はいい提案だと思い、嬉しく舌を出して跳ね回った。
「ワンワンワン、じゃあ君と一緒に行くよ!」