Archivum 崩壊:スターレイル

(稽神篇・禍祖)

……
……

【寿瘟禍祖】

「豊穣」の運命の主。我らの大敵、豊穣の民と仙舟同盟が「薬師」と呼ぶ生命の神。

言うまでもなく、かの神が羅浮に現れ「建木」を残したという神話については、卜者諸君はすでに学舎の在籍中や雲騎軍の従軍中、または個人の読書時間に読んでいるだろう。ゆえに、本書ではそのために多くの紙面を割くことはしない。

改めて諸君に申し上げるが、「寿瘟禍祖」本体を主眼として、その未来を占ういかなる行為も、決して許されぬ重罪である。

これはよくある話だが、卜占の道を学び始めて最初の100年間は、卜者はとかく知識を極めたという思い上がりから、自分が運命を支配し天地神明に通じる力を得たと思い込み、禁令を無視して星神を占い、聖遺物の秘密を入手しようと目論むものである。他の星神ならば、それも見て見ぬふりをしないでもないが、薬師に対しては十王司は明確に禁令を発布している。違反者は「許されざる大罪」を犯したと見なされ、厳罰に処される――むろん、それまで生きていられればの話だが。

「寿瘟禍祖」は仙舟人が長命種に転じた原因である。そのため、我らと薬師の間には決して断ち切れない距離を超えた作用が存在している。この物理学では説明できないつながりこそが、「魔陰の身」が生まれた原因の一つかもしれない。占いにより薬師をのぞき見ようとするいかなる試みも、この作用によりその反動を受ける。同様の行為はすべて悲惨な結果を招いた。これらの記録は太卜司の書庫の「違反者」の欄に保存されているので、卜者諸君は熟読されたい。


【燼滅禍祖】

「壊滅」の運命の主。反物質レギオンとアナイアレイトギャングが「ナヌーク」と呼ぶ破壊の神。

最後になるが、ナヌークとその手先こそが銀河の諸悪の筆頭だと言えるだろう。「寿瘟禍祖」が生命を癒すことで変異と壊滅的結果を招いたのに比べて、燼滅禍祖はより直接的に混乱をもたらした。その神と配下の使令たちは、反物質レギオン率いて文明の存在するすべての世界を侵略し、灰燼へと変えた。

いくら同盟が帝弓の啓示によって「豊穣」を追跡し、暴走する忌み物を狩ろうとも、同盟と燼滅軍団の大小の戦闘記録はすでに万を超えた。斥候からの情報では、仙舟と文明交流を築いた星々が近年急速に失われ始めているという。すべてが憂慮すべき状況である。近い未来、同盟が直面する大敵は、忌み物だけではなくなるかもしれない。


【螟蝗禍祖】

「繁殖」の運命の主。カンパニーとその被害を受けた世界が「タイズルス」と呼ぶ增殖の神。いくつかの世界では、「蟲の王」とも呼ばれる。

蟲の王が死して久しいが、その神が宇宙にもたらした恐怖は皇帝ルパートに勝るとも劣らない。仙舟が到着した多くの世界の中で、丹鼎司は特殊な生物汚染サンプルを採取した。それは「繁殖因子」と呼ばれるスウォームの変異遺伝子である。博識学会のある武装考古学士は、螟蝗禍祖の蟲の巣と化した星々はすでに修復不可能な恐怖の地獄であり、最終的には惑星破壊兵器で永遠に後患を絶つしかないとする多くの証拠を提示した。

彼の説によると、その恐怖は未だ消えておらず、虫皇の遺児は今も存在し、神自身もいつ復活するか分からないという。その学士から彼のコレクションを見せられたことがある。暗い黄色の琥珀の結晶の中で、私は開閉する斑点や蠢動する筋組織を見た。それが「蟲の王の檻」の一部だと告げられた時、私は驚愕した。額の法眼ではこの物体の未来を予見できないことが、学士の説を側面から裏付けていた。私はそんな日が来ることがないように、帝弓に祈るしかなかった。

……
……