アイトウカサタケは地髄の周辺に生息する真菌類で、子実体は小さく、傘は半球形に近く、中部は臍状になっていて、溝がある。直径は
肉質が固いため、直接食べるのには適さない。一部の診療所ではアイトウカサタケを薬として使用している。「アイトウ」シリーズの薬には痛みを和らげる効果があり、神経痛、片頭痛、骨折痛、関節痛などの症状に効果がある。鉱夫の歴史において、アイトウカサタケは凄まじい功績残したと言える。名前にある「カサ」はある物の形から由来したと言われるが、長い年月が経った今、下層部の住民ほとんどは傘が何なのかを知らない。
鉱蝕コケは先端に球状の反射細胞を持つ小さな植物で、洞窟の入り口や廃棄された地髄採掘坑道内に生息している。鉱蝕コケは密接している構造で空気中の水分や有機物を貯蓄し、成長過程で仮根は酸性の物質を分泌する。その酸性物質と地髄の粉が化学反応を起こして、地髄採掘が終わった坑道の中で、微弱な光とエネルギーを放つ。
鉱蝕コケの原糸体は多くが球形で、光を反射もしくは屈折させて蛍光緑色の光を発する。ほとんど明かりのない坑道の深部でも、化学反応によって引き起こされる光を利用して、生存できる。わずかな光で光合成が可能な鉱蝕コケは、無人の坑道内では大規模なコロニーを形成している。「光コケ回廊」は、鉱蝕コケが坑道に沿って成長した生態現象である。
ゾンビ将軍は決して本物のゾンビでも、将軍でもない。ガジュマルと呼ばれる樹が枯れたものである。寒波が訪れる前、かつては巨大なガジュマルの木が大陸に存在しており、一本の木がその地域の生態系の名所となっているほどだった。当時の人々は敬意を表して「シェルバ将軍」と呼んでいた。寒波が訪れたあと、「シェルバ将軍」の地上に露出した部分は、嵐の薄暗がりの中で枯れてしまった。しかし、ゆっくりと死が忍び寄る過程で「シェルバ将軍」の根は素早く成長し、地下の水脈を占領し、栄養を吸い込み、本体が死んだ後もその範囲を広げていった。
地髄開拓団が初めてその根に遭遇した時、団員の中にまだ「シェルバ将軍」のことを覚えている老人がいた。その老人は驚愕した。何故なら、「将軍」とベロブルグはおよそ百キロほど離れていたからである。その時から、開拓中でも成長を続けているこの根を「ゾンビ将軍」と呼ぶようになった。今日に至るまで、「ゾンビ将軍」は地下の人々の日常生活に欠かせない重要な素材となっている。なお素材として使われた分は、全体の1%未満だとされている。