お前、『暖房点検安全操作手引き』を手に入れたよな。それを読み終わったら、次はこっちを読むように。
今日は早く帰るよ。理由は知っての通り、子供がもうすぐ生まれるんだ。それに伴い半月ほどの休みをもらうよ。太陽の日の前、点検の時には不在にすることになる。でも安心しろ。ベアさんがお前についている。私が普段教えていることを忘れるな。基本的には何の問題もないから、お前がすぐに覚えられるのを私は良く知っている。
でも暖房配管は、ベロブルグの中で最も重要な暖房工場だから、やっぱり説明しておくよ。一度では覚えられないかもしれないから、このメモを残しておく。『安全操作手引き』と照らし合わせて読んでおけよ。わからないことがあれば、必ずベアさんに聞くように。
第一に操作免許を取ること、第二に保護具を装着すること、基本中の基本だから二度は言わない。第三に暖房点検区の照明を常に確認すること。特に緊急用の照明は念入りにチェックしておくように。以前に私の師匠たちが事故に遭ったことがある。炉内は光が届かない、照明がないと予想外のことが起きやすい。
第四の配管のコーティング部分について『安全操作手引き』の記載には漏れがあったから、下記のことはしっかり覚えておくように。絶対に断熱手袋をちゃんと付けること。配管内は全部高温の水蒸気が詰まっている、なんの断熱処置もなく触ったら火傷になる。コーティング剤を作る割合も教えてある。でも気をつけろ、コーティング剤を少し多めに使っても水を入れ過ぎないように!配管表面が高温で、薄めのコーティング剤を塗ったら、部屋の中が水蒸気でいっぱいになる。下手したら命がないぞ。コーティング剤を塗る作業は知ってるように、均等に塗ること。適当にベタベタ塗るのは絶対にダメだ。
第八は蒸気タービンの回転子、点検の中でも特に重要な箇所だ。点検の半分を終えた頃には防護服の絶縁とゴーグルをチェックした方がいい。あと補修の時はボイラーと起電機をシャットダウンしろ。繊細な機械なんだから、壊れたらすぐに変えることもできない、注意に注意を重ねるんだぞ。第十の警報器に関しても補足がある。濃度監視用のあれのことだ。私たちが使っているアラームは比較的新しく、操作方法も手引きと違うから正確な使い方は私が教えたものに従うように。
他にはもう何もないよ。暖房パイプの点検を終えれば、お前は一人前だ。
太陽の日には私の家に来い、特製の太陽ブリヌイをご馳走する。市販のものより美味しいぞ。それに妻の親戚も来るから、着飾って来いよ、他に要求はない。